私たちが口にしているのは“食べる工業製品”?:NOVA分類という視点と超加工食品 [note085]

Ref. #栄養学 #超加工食品 #NOVA分類 #フードマトリックス #食事誘発性熱産生 #インスリン

Library Note [Note-085]

本日の問い

私たちはいま、「食べ物」と「食べやすく設計された製品」の違いを、区別できているでしょうか?成分ではなく加工度で見たとき、日々の選択はどう変わるでしょうか。

こんな方へ

  • カロリー計算やPFCは気にしているのに、なぜか体調や体重が安定しない方。
  • 玄米・果物・ナッツなど「同じ糖質でも太り方が違う」理由を構造から理解したい方。

この記事の結論

  • 食品を栄養素ではなく加工度で分類する「NOVA分類」がある。問題になりやすいのは、原型が崩れるほど分解・再構成されたグループ4(超加工食品)。
  • 超加工食品はフードマトリックス(構造)が壊れているため、咀嚼と消化の“手間”が減り、吸収が速くなりやすい。その結果、血糖の上下や満腹感のズレが起こりやすい。

成分ではなく「加工度」で見る

「カロリーゼロだから大丈夫」「ビタミン配合だから健康的」 こうした表示は役に立つ一方で、それだけでは食品の“性格”を言い当てられないことがあります。

そこでひとつの視点になるのが、ブラジルの研究者らが提唱した NOVA分類 です。
これは食品を「栄養素の内訳」ではなく、どれくらい手が加わったか(加工度)で4つに分けます。

  1. グループ1(自然食品): 野菜、肉、卵、牛乳、米など。
  2. グループ2(加工食材): バター、砂糖、塩など(料理に使うもの)。
  3. グループ3(加工食品): 缶詰、チーズ、焼きたてのパン(家庭料理の延長)。
  4. グループ4(超加工食品): スナック菓子、カップ麺、甘い清涼飲料水、大量生産の菓子パン、ソーセージなど。

ここで問題の中心になりやすいのが、スーパーの棚の大部分を占める「グループ4(超加工食品)」です。 これらは、食材を粉砕し、抽出し、混合し、添加物で食感や保存性を整えて作られた、いわば 「工業的に設計された食品」です。

「フードマトリックス」の崩壊

なぜ、超加工食品は太るのでしょうか。 それは「糖質や脂質が多いから」だけではありません。決定的な理由は、「フードマトリックス(食品の構造)」が破壊されているからです。

自然の食材には、細胞壁や食物繊維が絡み合った“立体構造”があります。
それを食べるとき、私たちは 噛み、胃腸を動かし、酵素で分解するという工程を踏みます。
この「処理」そのものに、エネルギーが使われます(食事誘発性熱産生=DIT)。

一方、超加工食品は、工場で細かく砕かれ、混ぜられ、食べやすい形に整えられています。
言い換えるなら、消化の前工程が“外部で済んでいる” 状態に近い。
すると、咀嚼の量や消化の負荷は下がり、吸収は速くなりやすい
カロリーが同じでも、体内での“処理のされ方”が変わってしまうのです。

その結果として起こり得るのが、

  • 血糖の動きが急になりやすい
  • 満腹感が追いつきにくい
  • 食後の体感(眠気・だるさ・もう一口欲しくなる感覚)がぶれやすい

といった「ズレ」です。

脳を支配する「至福点」

さらに厄介なのが、脳への影響です。 超加工食品は、食品工学の専門家によって、最も脳が快楽を感じる「糖・脂肪・塩」の黄金比率(至福点)で作られています。

自然界には少ないレベルの「口どけ」「軽さ」「濃い味」。
これが、満腹感よりも先に“快”が走る状態を作りやすい。 「ポテトチップスがやめられない」のは、あなたの意志が弱いからではありません。 「やめられないように設計されたプログラム」を、口に入れているからです。

向き合い方:超加工食品は「食事」と同じ土俵に置かない

では、現代社会で超加工食品を完全に断つべきでしょうか? それは現実的ではありませんし、ストレスになります。

大切なのは、認識を書き換えることです。

  • グループ1〜3(素材・手料理): これは「食事」です。身体を作る材料であり、日々の営みそのものです。
  • グループ4(超加工食品): これは「食事」ではありません。あくまで「娯楽(エンタメ)」です。

映画を見たり、ゲームをしたりするのと同じ、「脳を楽しませるための遊び」だと割り切ってください。 お腹が空いたから食べる(栄養補給)のではなく、「今日はちょっと遊ぼうかな」という感覚で、嗜好品として捉える。この切り替えが、超加工食品との付き合い方を安定させます。

咀嚼を取り戻す

超加工食品の特徴は、「噛まなくていい(口どけが良い)」ことです。逆に言えば、身体側に主導権を戻す方法はシンプルで、原型のあるものを選び、噛む回数を増やすことです。

例を挙げるなら、

  • 粉になった小麦(菓子パン・麺)より、粒の残る主食
  • すり潰した加工肉より、原型の肉や魚
  • ジュースより、果物そのもの
  • とろける食感より、噛む必要のある食感

構造が残った食べ物は、食事を“ゆっくり”にし、満腹感を追いつかせ、体の処理工程を取り戻します。
超加工食品と向き合ううえで、最終的に頼りになるのは、成分表よりも 「構造」と「咀嚼」なのです。


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この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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