栄養素は『部分』ではなく『全体』で考えよう [note064]

Ref. #食品マトリックス #ホールフード #生物学的利用能 #超加工食品 #相乗効果

Library Note [Note-064]

本日の問い

野菜を食べる代わりにサプリメントで置き換えたとして、それはカラダにとっては全く同じことなのでしょうか?

こんな方へ

  • 食事をプロテインバーやサプリメントで済ませることが多い方。
  • 「〇〇配合」という健康食品のパッケージを見るとつい買ってしまう方。

この記事の結論

  • 栄養素は単体ではなく食材に含まれる無数の成分が複雑に絡み合う「食品マトリックス」の中でこそ機能を発揮する。
  • 健康な身体作りにおいて重要なのは、成分表の数値ではなく、食品の構造が破壊されていない「ホールフード(原形)」を選ぶこと

「野菜を食べるのが面倒だから、マルチビタミンのサプリを飲む。」
「食事の代わりに、栄養バランスの整ったプロテインバーを食べる。」

現代人は効率を求めます。
「必要な栄養素」さえ入っていれば、それがどのような形態であれ、身体への効果は同じだと考えがちです。

しかし、残念ながら身体の反応は同じではありません。

私たちの身体は、単純な化学反応では説明できない複雑で有機的なシステムで動いています。
今回は、サプリメントがどうしても「本物の食材」の代わりにならない理由。
その「食品マトリックス」について解説します。

栄養素は「ソロ」では働かない

例えば、あなたが「ビタミンE」を摂取したいとします。

  • A: アーモンドを食べる。
  • B: ビタミンEのサプリメントを飲む。

成分量だけ見れば同じかもしれません。
しかし、アーモンド(A)にはビタミンE以外にも、食物繊維、良質な脂質、ミネラル、そしてまだ科学的に解明されていない数千種類の「植物性化学物質(ファイトケミカル)」が含まれています。

自然界の食材において、これらの成分はバラバラに存在するのではなく、複雑に絡み合い、一つの構造を作っています。
これを「食品マトリックス」と呼びます。

栄養素は、「チーム」で働きます。 ある成分は酸化を防ぎ、ある成分は吸収を助け、ある成分は排泄を促す。

近年の研究では、特定の栄養素を単体(サプリメント)で摂取するよりも食品マトリックスとして丸ごと摂取した時の方が、抗酸化作用や吸収率が数倍から数十倍も高まることが分かっています。

工場で特定の成分だけを抽出・精製するということは、「成分の純度」を高める代わりに、自然界が作り上げた完璧な「相互支援システム」を捨ててしまう行為に他なりません。
そこにあるはずの相乗効果が失われていれば、数値上の量がいくら多くても、期待する効果は得られないのです。

「吸収率」を決める鍵

また、食品マトリックスは、栄養が身体にどれだけ吸収されるかという「生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)」にも大きく影響します。

自然な食材の中では、栄養素は食物繊維や細胞壁に守られています。 これにより、消化器官の中でゆっくりと分解され、適切なタイミングで、適切な場所に栄養が届くようにコントロールされている。

一方、サプリメントや加工食品は、この「守り」がありません。 裸の状態の栄養素が一気に体内に入ってくるため、吸収しきれずに排出されたり、逆に血中濃度が急激に上がりすぎて副作用が出たりすることがあります。

「何を食べたか(成分)」よりも、「どう吸収されたか(利用能)」の方が、身体作りにおいては遥かに重要なのです。

超加工食品という「破壊されたマトリックス」

この「マトリックス」の視点を持つと、なぜ加工食品が身体に悪いのかが、カロリー以外の理由で見えてきます。

工場で大量生産される「超加工食品(スナック、菓子パン、即席麺など)」は、原材料を粉砕し、加熱し、成分を抽出して再結合させたものです。 この過程で、自然本来のマトリックスは完全に破壊されています。

たとえパッケージに「レタス1個分の食物繊維」「ビタミン配合」と書かれていても、それは「人工的に添加された孤立した成分」に過ぎません。

脳や腸は、この不自然な構造の食べ物をうまく認識できません。 その結果、満腹中枢がうまく働かずに食べ過ぎてしまったり、腸内環境が乱れたりするのです。

これが、カロリー計算だけでは説明できない、加工食品による肥満や不調の原因です。

成分表ではなく「形」を見る

もちろん、特定の欠乏症がある場合など、サプリメントが有効な場面はあります。あくまで「補助(Supplement)」としては優秀です。 しかし、それは「食事の代わり(Replacement)」にはなり得ません。

では、私たちは何を基準に選べばいいのでしょうか。 答えはシンプルです。

「ホールフード(Whole Food)」を選んでください。

  • 切り身やミンチよりも、魚や肉の原形に近いもの。
  • 野菜ジュースよりも、野菜そのもの
  • 精製された小麦粉よりも、玄米や全粒粉

成分表示の細かい数字を見る必要はありません。 
「それが自然界にあった時の形を留めているか?」
 その基準だけで、あなたは最良の食品マトリックスを手に入れることができます。

自然の複雑性を、そのまま身体に取り入れること。 それが、狂ってしまった身体のセンサーを正常化させる一番の近道なのです。

この記事を書いた人

トレーナーAzuma

フィットネスの知見をもとに、動きやすい体づくりをサポート。「日常を軽やかに動く体作り」を目指して情報発信中。

栃木県宇都宮を拠点に活動しています

TKbodyworksは、栃木県宇都宮市の
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