私たちはつい「丁寧な暮らし」を買ってしまう。オーガニックはラベルではなく、関わり方。 [note082]

Ref. #オーガニック #記号の消費 #身体性 #スローライフ #生産者 #システム思考

Library Note [Note-082]

本日の問い

「無添加」「有機」という言葉がくれる安心感はどこからくるのでしょう。その安心感は、表示を確認した瞬間に完結していませんか? もう一歩だけ、作り手や季節、手間といった「関わり方」まで含めて味わえたら、何が変えれるでしょうか。

こんな方へ

  • 「無添加」や「有機」の表示をつい気にして買い物をしてしまう方。
  • 健康的な食事に囚われすぎてしまって生活からおおらかさが抜け落ちてしまっている方。

この記事の結論

  • 現代の健康志向は、自然そのものではなく「丁寧な生活」という「記号(概念)」を消費している側面がある。
  • 本質的な自然とは、成分の綺麗さだけではなく、手間や生産者との「つながり(プロセス)」の中に宿る。

「概念」を食べる現代人

スーパーには「オーガニック」「無添加」「ボタニカル」といった言葉が溢れています。
健康や環境を気遣ってそうした商品を選ぶ、その意識自体はとてもまっとうです。

ただ、ふと立ち止まって考えてみます。

綺麗に洗浄され、プラスチックで個包装され、生産者の顔は見えない。
それを私たちは、忙しい日常の隙間で、噛む間もなく“処理”するように食べてしまう。

このとき私たちが食べているのは、野菜そのものなのか。
それとも「丁寧な暮らし」「環境を大切にする姿勢」というイメージなのか。

フランスの社会学者ジャン・ボードリヤールは、現代社会を「記号の消費」と定義しました。
私たちは、モノの実用性や実体(味や手触り)そのものではなく、そのモノが持つ「イメージ(健康的で丁寧な生活)」という記号を消費しているのだ、という指摘です。

もし私たちが、ラベルの文字(記号)を確認しただけで満足し、その向こうにある「土の匂い」や「育てた人の苦労」を想像できていないとしたら。 それは栄養こそ摂取できていても、「自然という実体」とは切り離されてしまっているのかもしれません。

自然とは「手触り」である

オーガニック(Organic)とは、本来「有機的な」「つながっている」という意味合いを持ちます。
それは「農薬を使っていない」という単純な定義の話だけではなく、
土があり、虫がいて、人が育て、料理して食べるという一連の命のつながりも含んでいる。

自然には、だいたい手間がかかります。
泥がついている。形は不揃い。献立は迷う。洗って切って火を通す。

この“面倒くささ”は、ただの不便ではなく、
効率化された生活の中で薄れてしまった自然との接点(手触り)でもあります。

だから、時短で済ませることやインスタントが悪いと言いたいわけではありません。
ただ、もし「最短で済ませること」が習慣になると、
オーガニックがいつの間にか“商品名”になり、手触りの部分だけが抜け落ちていく。
そんなことは起こり得ます。

成分の「純度」か、関係の「濃度」か

ここで、二つの「豊かさ」を考えてみましょう。

一つは、遠くの国から輸入されたけれど、厳しい認証をクリアした「完璧なオーガニック野菜」。 ここには、化学物質がないという「成分の純度」としての安心があります。

もう一つは、近所の農家さんが作った、多少は薬を使っているかもしれない「顔の見える野菜」。 ここには、「今年は雨が少なくてね」といった会話や、誰が作ったか分かるという「関係の濃度」としての安心があります。

どちらが優れている、という話ではありません。
ただ、成分という“表示”だけでなく、
背景にある人や時間、文脈まで含めて食べることもまた、広い意味での「オーガニック(有機的なつながり)」ではないでしょうか。

日常に「質感」を取り戻す

ラベルの文字(成分)にこだわることは、自分の体を守る第一歩です。 そこからもう一歩進んで、その野菜が持っている「背景」や「時間」にまで思いを馳せてみる。

オーガニックは、店で買える“概念”ではなく、
「手間暇をかける」という生活態度そのものです。

出来合いの有機弁当を急いで食べる日があってもいい。
でも、たまには泥付きの野菜を洗い、火を入れ、湯気を眺めながら食べる。

その手触りのあるプロセスの中に、
私たちが求めている私たちが求めている本当の自然は宿っているのです。


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この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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