手首の厚さで体質がわかる不思議: 流行りの「骨格分析」の根拠はどこにあるのか? [note069]

Ref. #骨格診断 #胚葉学 #ボディタイプ #発生学 #遺伝

Library Note [Note-069]

本日の問い

ウェーブやナチュラル、ストレート。骨格分析では手首の厚さを基準に見ますが、それでなんで骨格タイプがわかるのでしょうか?そもそも骨格分析の根拠はどこにあるのでしょう。

こんな方へ

  • 「骨格診断」を受けたことがあるが、なぜそれが当てはまるのか論理的に知りたい方。
  • 自分の体型が好きになれず、無理なダイエットを繰り返してしまっている方。

この記事の結論

  • 流行の「骨格分析」で手首の太さを確認するのは、脂肪がつきにくい手首こそが、その人の「骨格の原形(フレーム)」を最も純粋に映し出す場所だからである。
  • このルーツは「胚葉学(はいようがく)」にある。受精卵が育つ過程で、皮膚(外)、骨・筋肉(中)、内臓(内)のどこが優位に発達したかが、体型のベースを作る。

手首は「嘘をつかない」

昨今定着した「骨格診断」。 そのチェック方法の一つに、「手首の太さを測る(反対の手で掴む)」というものがあります。

なぜ、腹部や大腿部ではなく、末端の「手首」なのか。 理由は物理的に明白です。 手首が、「後天的な環境変化の影響を受けない場所」だからです。

主要な筋肉や脂肪は、生活習慣によって増減します。 しかし、手首の周囲を構成するのは、そのほとんどが「骨」と「腱」です。 どれだけ鍛えようと、どれだけ肥えようと、手首の太さは劇的には変わりません。

実際に、反対の手で手首を掴んでみてください。親指と中指の重なり具合で、あなたの骨格タイプ(傾向)がわかります。

  • 指が大きく重なる: 骨が細く平たい → 「骨格ウェーブ」の傾向
  • 指がギリギリ届く: 関節や骨がゴツゴツしている → 「骨格ナチュラル」の傾向
  • 指が届かない: 筋肉の張りや弾力がある → 「骨格ストレート」の傾向

つまり手首は、後天的なノイズが削ぎ落とされた、あなたが生まれ持った「フレーム(構造)」そのものなのです。

あなたの骨格が、 「どっしりと厚みがあるボディ」なのか。 「薄くて華奢なボディ」なのか。 それとも「骨や関節が目立つモデル体型」なのか。

外見の脂肪や筋肉に惑わされず、あなたの身体の「本来の性質」を見分けることができる唯一のポイント。 それが手首なのです。

ルーツは「胚葉学」にある

では、そのフレームの個体差はどこに由来するのか。 ここで参照すべきは、生物学における「胚葉学(はいようがく)」の視点です。

胚葉学とは、「たった一つの受精卵が、分裂して3つの層に分かれ、そこからどうやって身体の各パーツ(皮膚、骨、内臓など)が作られていくか」を研究する学問です。

人体は、細胞分裂の初期段階で以下の3つの層(胚葉)に分化し、それぞれの器官へと発達します。

  1. 外胚葉(がいはいよう): 表皮、感覚器、脳・神経系になる。(外側の層)
  2. 中胚葉(ちゅうはいよう): 骨、筋肉、血液、心臓になる。(真ん中の層)
  3. 内胚葉(ないはいよう): 消化器、呼吸器などの内臓になる。(内側の層)

骨格分析のルーツは、この3つの層のうち、 「生命としてのリソースを、どこに優先的に配分したか」を見ることにあります。

これは簡単に言えば、あなたが生まれつき、 「アスリートのようなガッチリ型」なのか、 「モデルのようなスタイリッシュ型」なのか、 「女性らしい柔らか型」なのか。 そういった身体の基礎設計が、この段階ですでに決まっているということを意味しています。

【リスト】骨格タイプと胚葉タイプの相関

実は、現在流行している「骨格3タイプ」は、この「胚葉3タイプ」と驚くほどリンクしています。 それぞれの特徴を照らし合わせてみましょう。

① 中胚葉(骨・筋)優位タイプ ≒ 骨格ストレート

  • 胚葉学で言うと: 身体を動かすためのエンジン(筋肉)と、それを支えるフレーム(骨)の発達にリソースを割いたタイプ。
  • 手首で見分ける: 骨が太く、断面が丸く厚みがある。(指が届きにくい)
  • 印象: 「シンプルで上質な服」が最も映えるタイプ。身体自体に厚みと存在感があり、メリハリのあるグラマラスなボディライン。

② 外胚葉(神経・皮膚)優位タイプ ≒ 骨格ナチュラル

  • 胚葉学で言うと: 外部環境を感じ取るセンサー(神経・皮膚)や、機敏な動作のために、フレームをスタイリッシュに特化させたタイプ。
  • 手首で見分ける: 骨や関節が目立ち、フレーム感が強い。(指は届くが関節が当たる)
  • 印象: 「ラフでカジュアルな服」を格好よく着こなせるタイプ。オーバーサイズも様になる、骨格フレームの美しさが際立つモデル体型。

③ 内胚葉(内臓)優位タイプ ≒ 骨格ウェーブ

  • 胚葉学で言うと: エネルギーを貯蔵し、生命を維持するタンク(内臓・消化器)を優先し、フレーム自体は軽量化したタイプ。
  • 手首で見分ける: 薄く、平べったい。華奢な印象。(指が重なりやすい)
  • 印象: 「柔らかい素材や装飾」が似合うタイプ。上半身が華奢で、重心が下にあるため、曲線的でフェミニンな印象。

発生上の「特性」を知る

こう考えれば、骨格タイプが当たるのは必然です。 それはファッションのルールではなく、あなたの身体の「発生上の特性(Biological Characteristics)」そのものだからです。

筋肉や骨が発達しやすい体質なのか。 それとも、感覚器や内臓機能が優先された体質なのか。 この初期条件が違えば、トレーニングへの反応や、太り方が異なるのは当然のことです。

「モデルのように華奢になれない」と嘆く必要はありません。 それは、あなたの身体が「骨と筋肉を丈夫に作る」という生存戦略を選んだ結果であり、優れた機能の表れだからです。

逆に、筋肉がつきにくい人は、神経系や感覚器の鋭敏さにリソースが割かれている可能性があります。

骨格分析は、他者との比較のためにあるのではありません。 「私の身体は、発生学的にこういう特性を持っている」その事実を客観的に把握し、自分の身体を適切に管理するためのツールなのです。


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この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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