カロリーはあるのに栄養がない? 代謝を止めてしまう「新型栄養失調」の話 [note060]

Ref. #新型栄養失調 #TCAサイクル #補酵素 #エンプティカロリー

Library Note [Note-060]

本日の問い

「野菜ジュースとサラダチキン」。一見ヘルシーなその食事が、実はあなたの代謝を止めている主犯かもしれません。カロリーは足りているのに、栄養が枯渇する「新型栄養失調」について解説します。

こんな方へ

  • 「カロリー制限」をしているのに、全く痩せない方。
  • コンビニ食や加工食品で食事を済ませることが多い方。

この記事の結論

  • 現代人の多くは、カロリーは過剰摂取しているのに、代謝に必要な微量栄養素が足りていない「新型栄養失調」に陥っている。
  • ビタミンやミネラルは、取り込んだカロリーをエネルギーに変換する補酵素であり、これらが不在だと脂肪は燃焼されない。
  • 加工食品などの「エンプティカロリー」は、栄養を含まないだけでなく、体内の貴重なビタミンを浪費する「栄養泥棒」である。

「ダイエット中だから、お昼は春雨スープとおにぎりで済ませよう」

一見、ヘルシーでカロリーも抑えられているように見えます。 しかし、もしこの食事が毎日続いているとしたら、あなたの身体は「深刻な飢餓状態」にあるかもしれません。

飽食の現代日本において、今、大きな問題となっているのが「新型栄養失調」です。

これは、食べるものがなくて痩せ細るかつての栄養失調とは真逆です。 「カロリーは過剰に摂取しているのに、代謝を回すための『栄養素』が枯渇している状態」を指します。

今回は、なぜ「カロリー計算だけでは痩せないのか」、その化学的な理由(ロジック)を解説します。

「材料」があっても「作業員」がいなければ、工場は止まる

人間の代謝システムを、「巨大な食品加工工場」に例えてみましょう。

  • ベルトコンベアに流れてくる「材料」: 糖質・脂質・タンパク質(三大栄養素=カロリー)
  • 材料を加工する「作業員」: ビタミン・ミネラル(微量栄養素)

多くの人は、太る原因を「材料(カロリー)の入れすぎ」だと考え、必死にベルトコンベアに流す量を減らそうとします。

しかし、現代人の本当の問題は、材料の量ではありません。 工場の中に「作業員(ビタミン・ミネラル)」が全くいなくなっていることなのです。

作業員がいない工場に、次々と材料(おにぎりやパン)が流れてきたらどうなるでしょうか? 処理が追いつかず、ベルトコンベアは停止し、未処理の材料が工場の隅に山積みになっていきます。

この「山積みになった未処理の材料」こそが、あなたの「体脂肪」の正体です。 作業員不足の工場では、どんなに材料を減らしても、スムーズな稼働(燃焼)は起きないのです。

代謝回路を回す「歯車」の正体

これを科学的なメカニズムで説明しましょう。 私たちの細胞の中には、栄養をエネルギーに変える発電所があります。 これを「TCAサイクル(クエン酸回路)」と呼びます。

この回路は、ビタミンB群やマグネシウム、鉄といったミネラルが、「補酵素(コエンザイム)」としてカチッとはまることで初めて、歯車のように回転し始めます。

もし、ビタミン不足でこの歯車が噛み合わなければ、回路はストップします。

  • 食べた糖質: エネルギーに変換されず、脂肪細胞へ送られる。
  • 食べた脂質: 燃焼されず、そのまま蓄積される。
  • 身体の状態: エネルギーが作られないため、冷えてだるくなる。

つまり、微量栄養素(ビタミン・ミネラル)の不足は、「代謝機能の停止」を意味します。 カロリーを減らす以前に、まずこの歯車を回さなければ、何を食べても(あるいは食べなくても)痩せることは物理的に不可能なのです。

「エンプティカロリー」の罠

現代社会には、この代謝工場から作業員を追い出してしまう食品が溢れています。 それが、「エンプティカロリー食品」です。

スナック菓子、甘い清涼飲料水、精製された小麦製品。 これらは「カロリーがゼロ」という意味ではありません。 「カロリーは高いのに、作業員(栄養素)が空っぽ」という意味です。

さらに悪いことに、糖質や脂質を代謝するためには、体内のビタミン・ミネラルが大量に消費されます。 つまり、エンプティカロリー食品を食べると、栄養が入ってこないどころか、元々身体にあった貴重なビタミン(作業員)まで浪費してしまうのです。

これを「栄養泥棒」と呼びます。

コンビニ食や加工食品ばかり食べていると、カロリー過多で太るだけでなく、代謝に必要な栄養素まで奪われ、「太りやすく痩せにくい、燃費の悪い身体」が完成してしまいます。

結論:「量」を減らす前に、「質」で稼働させる

「痩せるためにカロリーを減らそう」とする前に、視点を変えてください。 「工場の作業員(栄養)は足りているか?」と問いかけてみましょう。

解決策はシンプルです。 カロリーという「数字」ではなく、栄養密度という「中身」を見ること。

  • 白米より、玄米や雑穀米(殻の部分にビタミン・ミネラルが豊富)。
  • 野菜ジュースより、本物の野菜や海藻
  • 加工肉より、魚や卵などの原型の食材

これらは、材料(カロリー)と同時に、それを処理する作業員(栄養)をセットで持っています。 これを「栄養密度が高い」と言います。

栄養密度の高い食事を摂れば、作業員が戻り、TCAサイクルは勢いよく回り始めます。 食べたものがスムーズにエネルギーに変わり、体温が上がり、脂肪という在庫が減っていく。

これこそが、「食べて痩せる」の本当の意味なのです。

この記事を書いた人

トレーナーAzuma

フィットネスの知見をもとに、動きやすい体づくりをサポート。「日常を軽やかに動く体作り」を目指して情報発信中。

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