Ref. #自然は飛躍しない #系統拘束 #適応放散 #ダーウィニズム

本日の問い
今のあなたの体型は、本当に「失敗」の結果なのだろうか?
こんな方へ
- 流行りのダイエットに飛びついては、続かずにやめてしまうことを繰り返している方。
- 自分の身体を変えたいが、過去の自分を否定することから始めてしまっている方。
この記事の結論
- 進化論には「自然は飛躍しない」という大原則がある。生命は過去の構造を利用し、少しずつ変化することしかできません。
- あなたの現在の身体は、不摂生の結果ではなく、過去数十年の環境に対して身体が必死に「適応」した成功の証なのです。
- 自分の「履歴」を無視して、全く新しいメソッドを上書きしようとしても身体は拒絶します。変化は常に、過去の延長線上にしか生まれません。
「痩せたい」「変わりたい」 そう思った瞬間、多くの人は「未来」を見ます。 そして、スマホで「最新メソッド」「短期間で変わる」と検索し、自分とは全く違う生活をしている他人の真似を始めます。
しかし、その挑戦はあまりベストな選択とは言えません。
なぜなら、そこには決定的な視点が欠けているからです。 それは、「なぜ、今の自分はこの身体の形をしているのか?」という、過去への視点です。
今日は、進化論の最も重要な原則を借りて、あなたの身体が作られた「歴史」の話をしましょう。
1. 自然界に「リセットボタン」はない
「種の起源」を記したチャールズ・ダーウィンは、ある重要な言葉を残しています。
「自然は飛躍しない(Natura non facit saltum)」
生命の進化は、ある日突然、魚がライオンに変わるような魔法ではありません。 ヒレが少しずつ足になり、エラが肺になり……というように、「既存の身体」を少しずつ作り変えることでしか、新しい機能は獲得できません。
これを「系統拘束(けいとうこうそく)」と呼びます。 どんなに環境が変わっても、生命は過去の身体構造(履歴)という制約からは逃れられないのです。
これは、数十年生きてきた、あなたの身体にも全く同じことが言えます。
今のあなたの身体は、昨日今日の食べ過ぎで作られたものではありません。 あなたが生まれてから今日に至るまで積み重ねてきた、数万回の食事、数万時間の姿勢、思考の癖。 その膨大な「生活の履歴」が堆積した地層そのものです。
それなのに、多くの人はダイエットを始めるとき、この「地層」を無視して、いきなり更地(さらち)に新しいビルを建てようとします。 基礎のない場所に建てたビルが、すぐに倒壊する(リバウンドする)のは、物理的に当たり前のことなのです。
2. その体型は「成功」の結果である
ここで、少し残酷ですが重要な事実をお伝えします。 あなたがコンプレックスを感じているそのお腹の脂肪や、猫背の姿勢。
それは、身体の「失敗」ではありません。 むしろ、あなたが過去数十年間に身を置いた環境に対する「見事な適応(成功)」なのです。
- デスクワークで1日10時間座り続けた履歴
- → 身体は「座るのに邪魔な尻の筋肉」を削ぎ落とし、「背中を丸めてエネルギーを節約する形」に変形しました。
- ストレス過多で高カロリー食を食べ続けた履歴
- → 身体は「いつ飢餓(きが)が来てもいいように、効率よく脂肪を蓄えるタンク」を拡張しました。
あなたの身体は、あなたが置かれた環境(職場、家庭、食生活)の中で、最も効率よく生き延びるために最適化されてきたのです。
その「生存戦略の結晶」に対して、いきなり「明日から糖質ゼロ」「毎日10km走る」という真逆の命令を出せば、どうなるか。 身体はそれを「生命の危機(環境への不適応)」と判断し、全力で抵抗します。 これが、三日坊主や停滞期の正体です。
3. 「他人の正解」ではなく「自分の履歴」を読む
ボディーメイクにおいて最もよくある間違いは、他人の成功体験をそのまま自分に当てはめることです。 「あのモデルがやっているから」という理由は、生物学的には何の意味も持ちません。
そのモデルとあなたとでは、背負っている「履歴」が全く違うからです。
必要なのは、未来の理想像を描くことよりも先に、過去の履歴書を読み解くことです。
- 私は過去、どんな姿勢で時間を過ごしてきたか?
- ストレスを感じた時、何を食べ続けてきたか?
- どの筋肉を使い、どの関節をサボらせてきたか?
今の自分を作った「原因」を特定せずに、結果だけを変えようとしても、それは対症療法にすぎません。 履歴の中にこそ、変えるべき「環境因子」のヒントが隠されています。
まとめ:変化は「延長戦」の中にしかない
進化とは、過去を否定することではなく、過去を利用して新しい環境に適応することです。
もしあなたが本気で身体を変えたいなら、魔法のような新手法を探すのはやめましょう。 その代わりに、自分の足跡(履歴)を振り返ってください。
あなたが積み上げてきた時間は、消すことができません。 しかし、「なぜこうなったのか」という文脈を理解し、その延長線上で環境を少しずつ変えていくことはできます。
「自然は飛躍しない」 この言葉を胸に刻んでください。 あなたの身体を変えられるのは、インターネットの向こうの誰かではなく、あなた自身の「生きてきた記録」と向き合った人だけなのです。












