Ref. #発達運動学 #防衛反応 #身体図式 #抗重力

本日の問い
「力を入れろ」と言われるより、「力を抜け」と言われる方が難しいのはなぜか?
こんな方へ
- 「もっとリラックスして」と言われると、余計に身体が固まってしまう方。
- マッサージに行っても、すぐに身体が鎧のようにバキバキに戻ってしまう方。
この記事の結論
- 人間の身体の初期設定(デフォルト)は、赤ちゃんの時のように「脱力」した状態である。
- 大人の「硬さ」や「力み」は、重力やストレスから身を守るために脳が後からインストールした「防御プログラム」である。
- 脱力とは「力を抜く作業」ではない。自力を手放し、「重力(地球)に身体を預ける」という受動的な感覚である。
1. 赤ちゃんは「脱力」を学んでいない
生まれたばかりの赤ちゃんや、小さな子供を見てみてください。彼らの筋肉はマシュマロのように柔らかく、関節は驚くほど自由に動きます。
彼らは、ヨガを習ったわけでも、脱力の技術を学んだわけでもありません。 ただ、「最初からそうだった」のです。
人間にとって、余計な力が入っていない状態こそが、工場出荷時の「初期設定(デフォルト)」です。
逆に言えば、私たちが普段感じている「力み」や「硬さ」は、生まれた後にわざわざ身につけたオプション機能なのです。
2. なぜ、私たちは「硬くなる」ことを選んだのか
では、なぜ成長とともに、私たちの身体は石のように固まっていくのでしょうか。 それは、あなたが弱いからではありません。むしろ、過酷な環境に適応しようと頑張ってきた証でもあります。
- 姿勢の維持: 重力に負けないように、筋肉を固めて骨格を支えることを覚えた。
- 精神的な防衛: ストレスや不安から心を守るために、身体を「鎧」のように硬くした。
脳は、生きるために効率的だと判断して、筋肉に「常に硬くあれ」という命令(プログラム)を書き込みました。 つまり、身体の硬さとは、老化現象というよりも、脳が一生懸命学習した「防御システム」そのものなのです。
3. 「抜く」のではなく、地球に「任せる」
ここからが本題です。 多くの大人は、身体を柔らかくしようとして「力を抜こう、抜こう」と意識します。 しかし、「意識的に力を入れる」ことは簡単でも、「意識的に力を抜く」ことは非常に難しいのです。脳にとって、アクセルを踏むのは得意でも、ブレーキを完全に離すのは怖いからです。
では、どうすればいいのか。 答えは、自分で抜こうとするのではなく、「地球の力学」に身体を任せることです。
- 重力に任せる: ただ「立つ」とき、重力に逆らって筋肉で身体を持ち上げようとしないでください。それは地球と戦うことです。足の裏を通して、あなたの重みをすべて「地球」に渡してしまうのです。そうすれば、地面からの反力が、勝手にあなたを支えてくれます。
- 慣性に任せる: 動き出したら、自分でコントロールして止めようとせず、その流れ(波)に乗るように動く。
子供が柔らかいのは、自分の筋力でどうにかしようとせず、この地球の物理法則に逆らわずに身を委ねているからです。 脱力とは、能動的な行為ではありません。「自力」を手放し、大きな力に任せたときに、結果として起こる現象なのです。
まとめ:心地よさとは、地球と仲良くすること
「脱力できない」と悩む必要はありません。それは、あなたが頑張り屋で、全部を自分で支えようとしてきた結果だからです。
でも、もう少しだけ、地球を信じてみてはどうでしょうか。 手すりや壁といった文明(道具)に寄りかかるのではなく、ただ自分の足で立ち、重力という自然の摂理に自らを委ねてみる。
心地よく動けるということは、地球の力学と仲良くできているということです。
あなたが「自力」という鎧を降ろし、この星の大きな力に身を任せたとき、身体は自然と初期設定の柔らかさを思い出してくれるはずです。












