体重が勝手に整う仕組みを作る 『体重のホームポジション“脳の働き編”』 [note034]

体が「このくらいが自分の体重だ」と覚えている基準、つまりホームポジション(安定体重)が上がると、どれだけ意識して頑張っても痩せづらくなります。

最初のコラムで、現代の「生活環境」がこの基準を乱しているとお伝えしました。その上昇の背後には、特に「脳の報酬系」「人工的な刺激」「生活リズム」という、私たちの脳と神経活動に関わる3つの鍵が深く関わっています。

強い「快感」が脳を誤作動させる

「美味しいものをたくさん食べると太る」というのは、単なる感覚論ではなく、脳の「報酬系」の働きとして説明できます。

  • 過剰な報酬: 食事が美味しいと感じると、脳内でドーパミンなどの報酬物質が強く分泌されます。これは本来、生命維持に必要な行動を促すためのシステムです。
  • 人工的な刺激: しかし、現代の加工食品やファストフードは、この報酬系を人工的に“強く”刺激するように設計されています。その刺激はあまりに強力なため、脳が普段の満腹シグナルや代謝調整では追いつかなくなってしまいます。

その結果、脳が「もっと快感を!」「満腹になってもまだ満足できない!」という状況を自ら作り出し、結果的に過剰な摂取量が当たり前になります。この過剰な刺激が長期間続くと、脳は「この高い摂取カロリー・このくらいの脂肪量をキープしよう」と基準を上方修正してしまうわけです。

「別腹」を生む食事の多様性

「バイキングでつい食べ過ぎる」「デザートは別腹」といった経験は、誰でも覚えていると思います。これは、あなたの食欲コントロールが壊れているわけではありません。

  • 感覚特異的満腹感: 脳は、同じ種類の食べ物を食べ続けていると、その感覚に飽きて満腹感のシグナルを強めます。しかし、食事の種類(バラエティ)が多いと、脳は「まだ別の種類がある」と判断し、満腹感のシグナルを意図的に弱めてしまうのです。
  • 総摂取量の増加: 実際、食事の種類が多いほど、総カロリー摂取量が増えやすいという研究結果が多数あります。

つまり、バラエティが豊富な現代の食環境は、私たちの意思とは関係なく、体重の基準帯を上げる“信号”を出しやすくなってしまうのです。

体内リズムの乱れが「貯蔵モード」を起動する

私たちの脳の視床下部は、体内時計や食欲・ホルモンバランスを管理する司令塔です。

  • 生存危機と誤認: 慢性的な睡眠不足や、夜型の生活による体内リズムの乱れが生じると、この司令塔の機能が低下します。体はこれを「生命にとって危険な状態」「環境が不安定な状態」と誤認してしまうことがあります。
  • 脂肪貯蔵モード: 危険を察知した体は、防御反応として、「脂肪を貯めておけ」「エネルギーを浪費せず守れ」という、いわば「サバイバルモード」に入りやすくなります。

その結果、コルチゾール(ストレスホルモン)などのバランスが崩れ、体重の安定機構が、より脂肪を貯めやすい、“太りやすい基準”へとシフトしてしまうのです。

まとめ

体重の安定基準が勝手に上がってしまうメカニズムは、単に「カロリー計算」では解決しません。“脳と神経・リズム・刺激”の観点から、原因を整理することが重要です。

  • 過剰な美味しさ・刺激の食事 → 脳の報酬系を過剰に刺激し、満腹感を麻痺させる。
  • 食事の種類・バラエティの多さ感覚特異的満腹感を抑え、総摂取量のコントロールを難しくする。
  • 睡眠不足・体内リズムの乱れ → 脳の司令塔機能を低下させ、脂肪貯蔵モードを起動する。

このように、体重の基準帯は、意識的な努力だけでなく、無意識下の脳と環境からの刺激によっても変わっていくのです。次回は、脳ではなく「ホルモン/代謝」の視点から、体重基準が上がるさらなるメカニズムを確認していきます。どうぞお楽しみに。

この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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