体重が勝手に整う仕組みを作る『体重のホームポジション“ホルモンと代謝編”』 [note036]

ホルモンと代謝の裏側:なぜ頑張りが「脂肪」に変わるのか?

前回は、「体重のホームポジション」が上がる原因として、脳の報酬系や体内リズムの乱れといった“脳と神経”のメカニズムに焦点を当てました。

今回は、さらに体の奥深く、私たちの体重を水面下で決定づけている「ホルモン」「代謝」の働きに注目します。この2つのバランスが乱れることこそが、「努力しているのに痩せない体質」を作り出し、ホームポジションを高く固定してしまう最大の理由です。

満腹を感じない!? 「レプチン抵抗性」という名の“ブレーキ故障”

本来、私たちの体には、食べ過ぎを防ぐ優れた満腹ストップ機能が備わっています。その中心となるのが、脂肪細胞から分泌される満腹ホルモン「レプチン」です。

  • レプチンの役割: 脂肪が増えるとレプチンが多く分泌され、脳に「もうエネルギーは十分。食べるのをストップし、代謝を上げてください」という、極めて重要な“ブレーキ信号”を送ります。
  • 乱れの原因(レプチン抵抗性): しかし、体脂肪が過剰な状態や、慢性的な炎症が続くと、脳にあるレプチンの受け取りセンサーが疲弊して鈍感になってしまいます。これが「レプチン抵抗性」です。

この状態は、アクセル(食欲)を踏み続けているのに、ブレーキ(満腹信号)が効かなくなった車と同じです。レプチンがたっぷり出ていても脳は「満腹だ」と認識できず、常に強い空腹感や食欲に悩まされ、オーバーカロリーになりがちです。脳が新しい体重基準を高く設定してしまうのは、この本能的な信号の“故障”が原因なのです。

体を「貯蔵モード」から解放させない「インスリン」の過剰分泌

現代人が抱える「太りやすい体質」の決定的な原因として、血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の乱れも挙げられます。

  • インスリンの役割: 食事で血糖値が上がると分泌され、余った糖を脂肪細胞の中に「緊急貯蔵」させる役割があります。インスリンは「貯蔵ホルモン」の司令官です。
  • 乱れの原因(インスリン過剰): 高糖質や加工食品が多い食生活が続くと、細胞がインスリンの作用に慣れて効きにくくなります。すると、膵臓は血糖値を下げるために「もっと働け!」と大量のインスリンを出し続けることになります。

インスリンが血中に大量にある状態が続くということは、体にとって「エネルギーが絶えず供給されている」状態を意味します。このため、体は「脂肪を燃やしてエネルギーを作り出す必要がない」と判断し、燃焼のスイッチを入れようとしません。

その結果、常に「貯蔵モード」が優先され続け、いくら努力しても体内の脂肪が使われにくくなります。脂肪の貯蔵が優先され続けることで、ホームポジションは自然と高い位置へと誘導されてしまうのです。

生存本能による「サバイバルモード」という“命を守る最優先指令”

最初のコラムでも触れた通り、極端なカロリー制限を行うと、体は「飢餓の危機だ!エネルギーが足りない!」と判断し、すべてのエネルギー消費を抑えにかかります。

  • サバイバルモードの起動: 脳と体は「命を守るため、この体重(ホームポジション)を死守せよ」という“命を守る最優先指令”を出します。これは、まるで遭難時に、バッテリー残量を守るため、電源を極限まで落とすのと同じです。基礎代謝率を大幅に低下させ、エネルギーを極限まで節約しようとします。
  • 「痩せさせない体」の完成: その結果、ダイエット前と同じ食事量に戻しても、体は以前よりはるかに少ないカロリーで生命を維持できるようになり、余ったカロリーはすべて脂肪として蓄積されます。

この「サバイバルモード」こそが、体重のホームポジションを下げようとする努力に対する、体からの最も強力な“本能的な抵抗”であり、停滞期やリバウンドを生む直接的な原因なのです。

まとめ

あなたの体重の基準帯を高く維持している主な犯人は、以下の3つの「体の化学反応」です。

  • レプチン抵抗性: 脳が満腹サインを認識できず、常に食欲が刺激される(ブレーキ故障)
  • インスリン過剰: 体を貯蔵モードから解放させず、脂肪燃焼をブロックする(貯蔵モード継続)
  • サバイバルモード: 過度な制限により、体が命を守るために代謝を停止させるモードに突入する(命を守る最優先指令)

このように、体重のホームポジション理論を理解することは、単に「食べすぎない」という意識の問題ではなく、体内で起きている化学反応と生存本能の働きを理解し、それを味方につける戦略に他なりません。

この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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