「いただきます」の栄養学 [note025]

効率化の落とし穴

スマートフォン一つで必要な情報が手に入るように、食料品もまた、手軽に、そして高効率で栄養素が摂取できる時代になりました。高純度のプロテインパウダーや、特定のビタミンだけを抽出したサプリメントなど、便利な選択肢は豊富です。

しかし、その「効率」を追求した食生活が、かえって不調の原因になっていないでしょうか?

「身体の疲れが取れない」「代謝が落ちた」—この慢性的な不調を解消する鍵は、『食事を、単なる栄養素の集まりではなく、生命の循環の一部として捉え直すこと』にあります。

栄養素の連鎖

私たちがいただく肉、魚、野菜は、すべて地球上の生態系の中で育まれたものです。牛が草を食べ、草が土壌のミネラルや太陽のエネルギーを吸収するように、生命は栄養を連鎖的に取り込みます。この連鎖こそが、「自然な食材」から得られる最大のメリットです。

自然な食材から得られる栄養には、筋肉を作る「タンパク質」やエネルギー源となる「脂質」といった主役だけでなく、それを体内で効率よく利用(代謝)するために必要なビタミンやミネラルといった脇役が、最初から最適なバランスで「パッケージ」されています。

自然食材は理想のサプリメント

複雑な生命活動は、一つの栄養素だけでは成立しません。例えば、タンパク質(主役)を大量に摂っても、それを筋肉に変えるためには、ビタミンB群や鉄などの微量ミネラル(補助輪)が欠かせません。

肉や魚、野菜といった生命は、この主役と脇役を最適な比率で一緒に提供してくれます。これこそが、人間の身体が数百万年の進化の中で築き上げてきた、最もスムーズで合理的な栄養摂取のメカニズムです。自然の食材は、体内で代謝・合成をスムーズに進めるための天然のマルチサプリメントなのです。

加工の過程で失われる栄養のつながり

現代の加工食品や高純度のサプリメントは、必要な成分を分離・抽出・合成して作られます。これはこれで非常に有用ですが、自然な食材が持つ『栄養素同士の連動性』が途切れてしまうという側面があります。

自然界では、すべての栄養素は互いに影響し合い、特定の働きを助け合っています。工場で分離された単一の栄養素を摂るだけでは、天然の食材が持つこの栄養素の相乗効果を十分に得られない可能性があります。

効率を求めるあまり、この「自然な仕組み」を無視してしまうと、結果として代謝の停滞や慢性的な不調として身体に表れてしまうのです。

生命力を取り込む食事へ

「何を食べるか」は、「どう生きるか」に直結します。

便利な現代だからこそ、一度立ち止まって、肉、魚、色とりどりの野菜といった「生きていたもの」を、意識して食卓に取り入れてみてください。それは、あなたの身体が求める最も自然な栄養補給の形であり、生命力そのものを取り込む行為です。

ご自身の身体が喜ぶ食事を選ぶことが、健康な生活や慢性的な疲労の解消への近道となります。

「いただきます」という言葉には、命への感謝と共に、その命が持つ『生き物としての力』を自分の身体に取り込み、活かしていくという、深い意味が込められているのかもしれません。

この記事を書いた人

トレーナーAzuma

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