私たちの体と現代生活の「ズレ」
以前のコラムでもお伝えしたとおり、私たちの体(遺伝子)が想定している暮らしと、現代の生活とのあいだには、大きなミスマッチがあります。
私たちの体(遺伝子)は、はるか昔、狩猟採集を行なっていたころに長い時間をかけて出来上がった「昔の仕様」のままです。硬いものを噛むための強靭なアゴ、靴のない時代に長時間歩くために適応した体の骨格構造など、体の仕様は今でも原始的な生活環境に適応したままなのです。
しかし、現代の生活はあまりにも便利になりすぎました。体側の適応が、急激に変化した生活環境に追いついていないのです。
特に、食環境と体との間には大きなミスマッチ(ズレ)が生じており、これが私たちが日常的に抱えるさまざまな不調の根本的な原因となっています。
食環境における3つの「ズレ」
体の仕様が昔のままなのに対し、現代の食は次の3方向で体にとって不都合な過不足を生じさせています。
1. 体に多すぎるもの
過剰摂取が問題となる、現代に溢れているものです。
- 砂糖
- 精製炭水化物(白いパン、麺、お菓子など)
- オメガ6脂肪酸(植物油の多用による)
- 塩分
- 総カロリー
2. 体に少なすぎるもの
昔は豊富だったが、現代の加工食では失われがちな、体に不可欠な栄養素です。
- 水溶性食物繊維
- オメガ3脂肪酸(魚などに含まれる)
- 抗酸化物質
- 良質なたんぱく質
- ビタミン・ミネラル
3. 体にとって新しすぎるもの
私たちの体がまだ歴史的に遭遇したことのない、処理が難しい成分です。
- トランス脂肪酸
- 添加物の多い加工品
- 人工甘味料
- 未処理の抗栄養素が多い豆・穀物
この「ズレ」がもたらす日常の弊害
現代の食環境と「昔の暮らし仕様」の体とのズレが大きいほど、日常では次のような現象が起こりやすくなります。
- 血糖の乱高下:昼の強い眠気、夕方のイライラ、集中の切れやすさ
- 食欲の不安定化:甘味・粉ものへの渇望、ドカ食いと間食の連鎖
- 体脂肪とウエストの増加:数字以上に“重さ”やだるさとして表れる
- 慢性的な不調:むくみ、肌荒れ、胃もたれ(慢性的な炎症や消化負担の増大)
- 睡眠の質の低下:睡眠の浅さ、朝のだるさ(夜の血糖・カフェイン処理の乱れ)
- パフォーマンスの不安定:運動・仕事パフォーマンスのムラ(エネルギー供給の不安定さ)
まとめ
私たちが日常的に抱えるこれらの不調は、体の設計図と食環境のミスマッチから来ている可能性が高いのです。そして、このミスマッチの原因になっているのが、大きく言うと加工精製食品なんです。
「では、このズレをどうやって整えればいいのか?」
次回のコラムでは、今日から実践できる「未加工を楽しむ」ための具体的なガイドラインと、積極的に選びたい食品リストをご紹介しました。ぜひ、そちらも参考に、食習慣を見直す一歩を踏み出してください。




















