先日、長らくトレーニングに通ってくださっているお客様から、心が高揚するようなお話を伺いました。ご夫婦で東北の栗駒山へ紅葉狩りに行かれたとのこと。
見せていただいたお写真は、まさに息をのむような絶景。山肌を覆う紅葉の絨毯に、話を聞いている私まで興奮してしまいました。
そのお客様とは長いお付き合いになりますが、ここ最近はご夫婦での山登りが恒例になっているそうです。当初は日光や那須など県内の山がメインでしたが、徐々に活動範囲を広げ、信州へも足を運ぶようになり、今回はついに東北の栗駒山まで。ずいぶん本格的なトレッキングです。

何を隠そう、私自身もトレッキングが大好きで、その体験を誰かと共有するのも喜びで、以前はよく企画して、友人を募って県内の様々な場所へ案内も兼ねて足を運んでおりました。
そんな思い出を振り返りながらトレーニングのたびに「どこの山の、どこの景色がよかった」なんて話をよくしていました。
そんなお客様ですが、もともとは週末に外へ出て体を動かすタイプではありませんでした。
私が直接ぐいっと背中を押したわけではないのですが、トレーニングと合間の会話もきっかけのひとつとなって、いろいろなアクティビティに挑戦するようになり、今ではご夫婦でトレッキングを楽しんでいる。
本当に素敵だなぁと思います。
私はパーソナルトレーナーとして、ジム内でのセッションを通じて運動を指導する立場ですが、心の中にあるいちばんの願いは「関わったお客様が、いつまでも健やかで元気に暮らせること」。そのためには、現代的な生活から少し離れて“自分の体をきちんと感じる瞬間”が大切だと考えています。

その一つの手段として私はマンツーマンでのトレーニングを提供していますが、なにもトレーニングだけが唯一の答えだとは思っていません。
パーソナルトレーニングはあくまで“きっかけ”。
体と気持ちの土台が整う中で気持ちがさらに外へと広がり、これまでやってこなかったことにトライしてみる。季節や景色を味わいながら、「今日、いい日だな」と思える瞬間が増える。そうやって日常が自立していく――そういった場面に関われる瞬間こそが、この仕事をしていて感じるいちばんの幸せです。
いつか、トレーニングをひとつのきっかけに日常が外に開けていった方々を交えて、皆でトレッキングや様々なアクティビティを通じて感動を分かち合えたなら、私自身の人生にとっても、これ以上の幸せはないなぁと。そんな未来を静かに思い描いています。

















